わたしと家族

離婚した両親、それからのわたしについて思う事を整理する

母の交際相手

母と別れる事になった原因は、母の交際相手が母を連れ去ったからだ。

 

こうやって改めて文字にすると重々しい感じがする(苦笑)

 

わたしは今でも“被害者”みたいな気持ちでいるけれど、母と交際していたO氏は真逆だろう。

意地悪な娘の元で暮らしている母を救い出したナイト気取りだったと思う(この事については後に説明したいと思う)。

 

母の交際相手は当時70代前半のO氏。

当時O氏は関東に住み、母とはお見合いのような場所で知り合ったという。母もその頃は独身の弟と関東に住んでいた。

母の認知症がまだ決定的ではなかった頃に出会い、交際を続けていたようだ。

O氏の存在は母からも弟からも聞いていたのでわたしも知っていた。

 

O氏と母はメールや電話で日に何度も頻繁に連絡を取っていた。その時の母は楽しそうだし、わたしもこういう付き合いについて特に異論がある訳でもないので母に任せていた。

 

 ******

 

ある日、子どもの行事で家を空けていた時、母から携帯電話に連絡があった。なんとO氏が今から家に来る、と言うのだが住所などうまく伝えられないので(認知症になっていたので住所などをうまく説明できなくなっていた)わたしに説明して欲しいと言うではないか。

わたしはビックリした。

O氏が来る事も知らないし、出かけていて家を空けていたし、夕方も子どもの習い事でまた出かけなくてはならなかったからだ。

慌てて帰宅して、最寄り駅に来ていると言うO氏を迎える準備をした。

 

タクシーでO氏はやってきた。

わたしは突然の来訪に腹が立った。

認知症”という病気を理解しているのであれば、そんな母にだけ来ることを伝えるのではなく、家人のわたしに伝える事がすじではないのか?と思ったから。

 

初めて会うO氏は年齢の割に若々しく身だしなみもおしゃれだった。ハキハキとしゃべる会話もどことなく調子がよく、そんな感じがわたしはあまり好きじゃなかった。

 

どんな会話から始まりどんな話しをしたのかよく覚えていない。でも、O氏は母と暮らしたい、と言うような事を言ったと思う。(正確には「世話をまかせて欲しい」だったと思う)

わたしはまた驚いた。70歳のおじいちゃんが62歳の若年性アルツハイマーの母の世話をすると言うのだ。

 

当時彼はマンションの管理人をしていると言っていた。

奥さんを病気で亡くしていて、その奥さんとの間に2人の子どもがいて、孫もいる。孫たちも大きくなっており今は自由に生活をしている、と。

だから

「大丈夫!任せて」

と何度も言う。

わたしは面食らった。

 

何の根拠があっての“大丈夫”なの?

もちろん、その事は何度も尋ねた。

初対面でしかも年上の人に失礼だと思う事だったけれど、母の人生がかかっている。わたしは心配な事や不安な事をストレートにぶつけた。

アルツハイマーと言う病気の事。

もしOさんが病気になったりしたら、アルツハイマーの母の面倒もOさんもどうするの?

そして、その病気を持つ母との交際についてお子さん達は何て言ってるの?と。

それに対してもO氏は

「大丈夫」

としか言わない。話し合いは平行線だった。

 

そこでわたしは今後の母との交際についてO氏に以下のように伝えた。

母との交際は構わない。けれど、母が若年性アルツハイマーであり、今後も母はわたし達と住む予定であるので付き合う事は構わないけれど、それ以上は諦めて欲しいと。

 

そして、これから家を空けなければならないので今日は引き取って欲しい、と伝えた。するとO氏は

「留守番しているから出掛けてよい」

と言うのだ。

 

日頃のんびりしているわたしでも、さすがにこれはできない。

身元もよく分からない、そして初めて会った人物にアルツハイマーの母と二人きりにして出掛けられるわけが無い。

O氏はそれでも少し渋ったけれど、わたしだって引かなかった。

とにかく今日は帰って欲しい、と言って半ば強引に家から出した。わざわざ遠出してきたので、どこか温泉宿にでも泊まると言う彼にタクシーを呼び、母と見送った。

 

これが初めてO氏と会った時の出来事だ。

非常識なO氏の言動に心底疲れた。

でも非常識なO氏はわたしにだけ非常識だったのではなかったことは後に弟からも聞いた。

母には悪いがこんな人と付き合っているなんて、と母に対しても少し腹が立った。