わたしと家族

離婚した両親、それからのわたしについて思う事を整理する

日記回想(11)2011/12/02

多分、これよりも以前から母は“私”に対しての悪口を私ではない誰か、に言うことが増えていたんだと思う。

そういう事は認知症では見られる事では無いのだろうか?と今なら思える。

でも、当事者の気持ちはそう簡単に割り切れる物ではない。

 

******

 

『思い出すだけで

「頭にくるし、悲しくなるし、寂しくもなる」

そんな出来事が先日あった。

その日は曇っていた。
母は朝から具合が悪いようで
「何だか気持ちが悪い」
と言っていた。
なんとか朝食は済ませ、薬(アリセプト)も飲んだ。

少しして、母は布団に横になり
「少し休めばよくなると思う」
と元気のない声で言っていた。


本当はこの日、母に必要な物を夫と3人で買いに行こうと予定していたのだが
「体調が悪くて、行ける気分じゃない」
と言う母を残し、午前中は買い物へ行った。

もうすぐお昼になる頃
「何か買ってく?」
と電話をかけた。
母は
「いらない」
と応えた。

帰宅しても母の具合はよくなっておらず、昼食も「いらない」という。
食べる物は冷蔵庫にある事を伝え、私はその日午後から子ども達を連れてインフルエンザの予防注射に行くことになっていたので、休みだった夫に留守を頼み出かけた。

予防注射も済んで、子どもの買い物を待っている間に携帯に母から電話があった。

元気のない声だったけれど、声の感じは怒っているようだ。

「こんな知らない場所にいて、お腹も空いてるのに。。。買い物に行きたいけど店もわからない・・・。アンタだっていい大人なんだから、、、」
とブツブツ言い出した。
私は夫がいる事を伝えたけれど
「外で薪割りしてるみたいだし、、、」
と。

「すぐ帰るよ。待ってて!」
と電話を切り、夫に連絡を取り事情を簡単に説明し
「悪いけど、お母さんに声を掛けてみて」
と伝え急いで帰宅した。

帰宅すると母はカップラーメンをすすっていた。

機嫌はよくないようだけれど、私への怒りは多少、消えているようだった。(覚えていないのかも)

そんな母を見て私は苛立った。

「何回も“何か食べる?”って、聞いたでしょ!?」
そんな言葉をぶつけてやりたかったけど、私は苛立つ気持ちと一緒に無理やり飲み込んだ。
よく堪えたと我ながら思う(苦笑)。

 

夕方、母は少し元気になったようだ。
私は夫と犬の散歩に出た。

 

夫は私と電話を切った後、母に声を掛けカップメンにお湯を入れて母に渡してくれたようだ。
その時も母は、私に対して
「気が利かないんだから」
と怒っていたようだったと夫は言った。

「は~ぁ!?(怒)」
何度も電話もして、声も掛けてるのに、、、。
思わず薄暗くなった散歩道で声を荒げ、勢いにまかせ
「『電話もしたし、“お腹空いてないの?”って、聞いたし、冷蔵庫に食べる物もあるよ!って言ったんだよ!!』って、お母さんに言い返せる事ができたら、どんなに楽だろう、って思うよ、、、!」
私は母に言えなかった気持ちを夫にぶつけた。
夫は静かに聞いてくれ、犬たちはいつものようにせわしなく歩く。
夕暮れの冷たい風といつもの夫と愛犬たちが(なんでもないよ)と言うように私の頭を冷やしてくれるようだった。

 

そう考えると母と一緒の時間は“ガマンの時間”なのだ。

同じことを繰り返し問われ、それに応える日々。
会話に進歩はなく、未来へ繋がらない。

「さっきも言ったでしょう!?」
そういい返せるならば、どんなに楽だろう。
母の症状が悪化しようがしまいが何も考えず、私の“今”の気持ちを素直にぶつけることができたら、どんなに楽だろう。
でもそう言ってしまったら、“後悔”もするんだろう。
事情が分からない母に声を荒げた所で、母は何も分からないのだ。


そんな相反する気持ちを抱えて、私は“言いたいコトバ”を飲み込んでいる。
“気持ち”を殺して、飲み込んでいる。
消化不良になりそうだ。』