ダメな父親 〜ギャンブル狂〜
とにかくわたしが誕生した頃からすでに父のダメっぷりは発揮されていたのだな。
わたしが母から聞いた話しに加え、自分自身で見た事、感じた事もまとめてみる。
わたしの古い記憶の中の父について。
多分、わたしが幼稚園生の時、すでに父は転職を繰り返すダメな夫で父親になっていた。単に仕事が長続きしないばかりではなく、賭け事も好きでよく自宅で花札をしていた姿を思い出す。多分お金も賭けていたようだ。そんな父親を目の当たりにしていたからなのか、わたしが園で描いた「父の日」の父の絵を母が笑いながら見て言った
「こんな服なんて着ないのにねぇ」
と。
そこに描かれた父は、わたしだって見た事がないスーツ姿の父親だった。
なぜあんな姿の父を描いたのか、わたしにも分からない。
世間一般的な父親とはこうあるのだ、とどこかで見知ったのだろうか。
自宅で座布団の上で花札を広げる姿が一般的ではないとすでに6歳のわたしは感じていたのだろうか。
それともわたしの理想とする父親像だったのか。
スーツを着て、毎朝仕事に出かける姿を夢想したのだろうか。
わたしが小学生に上がる以前から賭け事に興じ、時には家財が差し押さえられた事もあったというから、父親のギャンブル熱は半端ではなかったんだろう。
その後もポーカー、競馬、パチンコは熱心に取り組んでいた。
幼いわたしもポーカーのゲーム機が並ぶ店へ連れて行かれた事もある。
とにかく父のギャンブル熱はわたし達が家を出るまで続いた。それはわたしが二十歳の頃だった。